自分の店を持とうと考えて、居酒屋の開業を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
食の安全が口酸っぱく言われている日本では、居酒屋の開業にあたってどんな免許や資格がいるのか気になるところです。
居酒屋を開業するのに絶対に必要な資格は、
- 食品衛生責任者
- 防火管理者(30人以上収容の場合)
この2つのみです。※必要な免許は下表を参照
必要な資格・申請の一覧
資格 | 重要度 | 備考 |
---|---|---|
食品衛生責任者 | 必要 | 約6時間の講習の受講が必要 オンライン講習が増えている |
防火管理者 | 収容人員が30人以上なら必要 | 乙種講習は1日約5時間 |
飲食店営業許可 | 必要 | 必要な条件や書類があるのでまずは保健所に相談する |
開業届 | 必要 | 事業を開始してから1ヶ月以内に提出する |
防火対象物使用届 | 必要 | 開店予定日の7日前までに消防署へ届け出 |
深夜酒類提供飲食店営業許可 | 深夜(午前0時以降)を営業する場合は必要 | 開店予定日の10日前までに警察署へ届け出 |
酒類販売免許 | 不要 | 居酒屋でありながら小売業者としてお酒を販売する場合には必要 |
調理師免許 | 不要 | 無くても開業できるが保有していれば信頼度が増す |
食品衛生責任者
食品衛生責任者とは、食品衛生法に基づいた食品を加工する作業所における責任者のことです。
飲食店では、この食品衛生責任者を選任して保健所に届け出を行う必要があります。
したがって、この届け出がなされていない居酒屋は、営業をすることができません。
そのため居酒屋を開業するにあたっては、食品衛生責任者になる必要があります。
食品衛生責任者は難しい?
食品衛生責任者と聞くと、取得が難しいように感じてしまいますが、そんなことはありません。
各自治体が毎月のように実施している講習会に参加すれば、食品衛生責任者を取得できます。
講習会の受講料は、1万円前後です。
受講の資格については、各自治体によって異なりますが、15歳以上の方であれば大体の方は受講が可能です。
受講方法は、従来の「会場集合型」講習と「eラーニング」講習が用意されています。※協会によってはeラーニング講習を実施していない場合があります。
6時間の講習を受ければ取得できるので、必ず取得するようにしましょう。
調理師や製菓衛生師などは講習会が免除
ただし、この講習会を受講しなくても、食品衛生責任者を取得できる場合があります。
それが、調理師や製菓衛生師、栄養士です。
他にも薬剤師やお医者さんも、その資格を持っている時点で食品衛生責任者を取得しているので、講習会を受ける必要がありません。
食品衛生責任者と言葉の響きが似ている資格として、食品管理責任者というものがあります。
名前が似ているので、同じものであると誤解されることがありますが、食品衛生責任者は自治体が実施する公的資格であるのに対して、食品管理責任者は国家資格です。
したがって、食品衛生責任者のように講習の受講だけで取得できるものではなく、講習会に加えて、実務経験も必要となります。
防火管理者
防火管理者は収容人数が30人以上の店舗の場合に必要で、消防署が実施している講習会を受けることで取得が可能です。
甲種が2日間で乙種が1日で取得できます。
費用はテキスト代の3,000円から5,000円となっています。
講習会での取得となるので難しい試験があるわけではありません。
飲食店営業許可
また、営業を始める前に保健所へ食品衛生責任者資格証明書を持っていって営業許可の申請をしなければなりません。
このとき先ほど紹介した食品衛生管理者の資格が必要になります。
ですから、できるだけ早く食品衛生管理者は資格取得したほうがいいのです。
内装工事、キッチンの工事を始める前に行わないといけないので注意しておいてください。
保健所の担当者の検査を経て許可が下り、これらの条件が揃って初めて営業を開始することが出来ます。
保健所への申請は手続きに要する日数が長くなる可能性があるので早めに行っておきましょう。
開業届
居酒屋を開業する場合、管轄の税務署に開業届を提出する必要があります。
届出をしなくても罰則はありませんが、青色申告をするのに必要の他、各種契約をする時に写しの提示を求められることもありますので、必ず届け出をしておきましょう。
通常の白色申告と比較して、青色申告の場合控除の幅が大きくなるので、出来れば青色申告承認申請書を提出することをおすすめします。
それだけ節税効果が期待できるので、青色申告の申請も行っておきましょう。
防火対象物使用届
また消防署に対しては、『防火対象物使用届』を提出する必要があります。
この際消防点検が実施されます。
消防点検と先ほどの保健所の点検とでは、設置基準が違ってきますので、内装工事を手掛ける段階で、キッチン設計に問題がないか、専門家のアドバイスを受けましょう。
店や建物の大きさ、出入りを想定している人数によっては防火管理者を置かないといけない場合もありますので注意しましょう。
酒類販売免許
居酒屋開業に酒類販売免許は必要?
居酒屋を開業しようと考えた場合、お酒を勝手にお客様に提供してよいのかどうかというところに疑問を感じることがあると思います。
お酒は、未成年には出してはいけない特別なものなので、特別な免許がいるのではないかと心配してしまうところです。
お酒を販売するにあたっての免許といえば、酒類販売免許というものがあります。
酒類販売免許とは
酒類販売免許とは、お酒を売ることを国に申請して許可をもらったことを証明するものです。
したがって、お酒を売ることを生業とする方は、この免許がないと販売することができません。
そう聞くと、居酒屋でもこの免許が必要になると思ってしまうところですが、実は必要ありません。
酒類販売免許は、消費者や料理店にお酒を売る小売業者に対して求められるものなので、お酒を売ってもらう側である居酒屋では、酒類販売免許が必要とされません。
ただし、居酒屋でありながら小売業者としてお酒を販売する場合には、酒類販売免許が必要となります。
深夜酒類提供飲食店営業許可
居酒屋であったとしても、特別な免許が必要な場合があります。
それが、居酒屋の営業時間が深夜12時を超えて行われる場合です。
深夜12時を超えて営業を続ける場合には、深夜酒類提供飲食店営業許可を取得しなければなりません。
これは、居酒屋を開業しようとしている場所を管轄する警察署に届け出を出すことによって、許可をもらうことができます。
したがって、この許可をとっていない居酒屋は、深夜12時になる前には、閉店をしなければなりません。
深夜酒類提供飲食店営業許可は難しくない
ただ、この許可は届け出さえ出せばよいので、難しく考える必要はありません。
届け出を行う際には、居酒屋の図面や保健所の営業許可証の写し、照明や音響、営業の方法などについての書類の提出も求められます。
なお、深夜酒類提供飲食店営業許可の届け出は、営業を開始する10日前までにはしなければなりません。
そのため、様々な手続きを完了したら、速やかに届け出をするようにしましょう。
もし、深夜酒類提供飲食店営業許可を取得せずに営業をしてしまっていた場合でも、ただ営業していただけではペナルティはないので、そういった場合も速やかに届け出を提出しましょう。
調理師免許
居酒屋を開業するために調理師免許は必要なのか
日々、様々な居酒屋が開業されているので、自分らしい居酒屋を開業したいと考えることもあるかもしれません。
そんなときに気になるのが、居酒屋を開業するために、調理師免許を取得する必要があるのかどうかということです。
そもそも調理師免許とは
居酒屋といっても、単純にお酒を提供すればよいのではなく、お酒の肴を出すことができて初めて、居酒屋らしい雰囲気になりますし、憩いの空間になります。
そもそも調理師免許とはどういった資格なのでしょうか。
それは、調理に関する専門的な知識を持っていますよということを証明しているものになります。
したがって、飲食店を開業して良いですよという資格ではなく、調理の知識を持っていますよという資格です。
そういったことから、居酒屋を開業するにあたって、必ずしも調理師免許は必要とされません。
調理師免許を取得する利点
また、店舗に調理師がいなくても、居酒屋を開業することができます。
ただし、調理師という資格を持っていることによって、お客様から安心と信頼をえられやすいという有利な点があります。
飲食店に就職するときにも有利になります。
そうしたことから、居酒屋を含めた飲食店を開業する前に、調理師の資格を取得する方が多くいらっしゃいます。
調理師の免許は絶対ではないが・・・
これらを踏まえると、調理師の免許は絶対ではないので、これまで調理の専門学校などに通ったことがない方でも、居酒屋は開業できるということになります。
だからといって、どんな料理でも良いわけではありません。
お酒の肴の味があまり美味しくないということになると、客足は段々と途絶えていってしまいます。
したがって、居酒屋を開業するにあって、どんな料理を提供することができるのかというのは、非常に重要なことになります。
そういった意味でいうと、料理の知識が全くない場合には、調理師の資格を取得する過程で料理を勉強するというのも必要になる場合があります。
まとめ
居酒屋経営に必要な資格や申請手続きは、開業前に把握しておくべき重要な点です。居酒屋を経営するためには、これらの手続きを適切に行うことが求められます。
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